「ステキブンゲイ5周年記念アンソロジー 作品公募」最終選考結果発表
2025年12月12日 公開
275作品のご応募をいただきました「ステキブン ゲイ5周年記念アンソロジー 作品公募」につきまして、先日発表いたしました最終候補作の中から、以下のような選考結果となりましたので発表させていただきます。
選考結果は下記の通りです。
※順不同・敬称略
大賞(2作品)
なお大賞となりました2作品は、2026年春ごろ刊行予定の『ステキブンゲイ5周年記念短編アンソロジー(仮題)』に収録される予定です。
ステキブンゲイ内でも刊行に向けて順次情報を発信してまいりますので、楽しみにお待ち下さい。
▽最終候補作
『不器用たちの物語』青入彼方
『センチメンタ・ループの木曜日』いとういちこ
『嗤い』懸上詠己
『さいはて書店と夕凪の夢』佐崎らいむ
『あいつによろしく』つばきち
▽最終選考までの経過はこちら
【総評・選評】
一般文芸作品に特化した小説投稿サイトとして2020年に開設されたステキブンゲイも、今年の春に5周年を迎えました。定期的に開催しているステキブンゲイ大賞(第五回は今月末募集締切です)とは別の、アンソロジー書籍への収録を前提に、短編小説に限った募集で行われた今回のコンテストにも、たくさんのご応募をいただきました。誠にありがとうございます。
おおよそ40〜50ページ程度のボリュームの中で、アイデアを凝縮し、読み手になんらかの感銘を与える作品としてまとめる短編小説には、長編小説とは違った難しさがあると思います。最終候補となりました5作品をはじめ、それぞれに工夫をこらしたたくさんの作品が集まり、楽しく審査させていただきました。
大賞となりました「不器用たちの物語」(青入彼方)は、ひとつの学校を舞台に、数組の、恋愛を中心とした人間模様を描いた連作的な作品でした。最終話が物語の結末的にはなっていますが、それらも結局は青春の途上という印象で、誰にも心当たりがあって、思わずニヤニヤしてしまう爽やかな読後感を与えてくれる作品でした。決して投げっぱなしなわけではなく、物語のその先に自然と思いを馳せることのできる作品だったと思います。
同じく大賞となった「嗤い」(懸上詠己)は、“小説を書く人”を主人公とした、このサイトをご覧いただいているみなさんの興味を掻き立てる作品ではないでしょうか。主にはその少女時代の視点で描かれたシニカルな物語なのですが、主人公は子どもらしい無邪気さも併せ持っているので“大人が書いた子ども”という印象になっていなかった点が、物語に説得力を与えていたと思います。執筆に対する衝動のようなものが伝わってくる作品でした。
惜しくも大賞を逃した3作品ですが、「センチメンタ・ループの木曜日」(いとういちこ)は正解にたどりつくためのやり直しタイプの時間ループもの。主人公に気づきと成長があり、安易なハッピーエンドではないところは良かったと思います。ただ、タイムループが起こったきっかけや、繰り返す時間の中でできること・できないことのルール的な部分などがちょっと書き足りていないように感じられました。
「さいはて書店と夕凪の夢」(佐崎らいむ)は良質なジュブナイル風味のミステリ。人死にやバイオレンス要素はなく、人物の正体や過去の出来事の真相を解き明かすタイプの、優しい気持ちで読み終えられる作品でした。僅かなサイキック要素とのバランスに再考の余地があるのではないでしょうか。
「あいつによろしく」(つばきち)大学生の男性主人公が「冴えない青春」を回顧する内容。回顧のきっかけ(導入)、モチーフ(孤高の友人)、また現在の友人(理解者)などがうまく構成されていて、無理のない前向きな終わり方も良かったと思います。淡々としたストーリー運びは魅力である一方、地味な印象も否めないので、なにかひとつポイントとなる出来事がほしかったように思います。
(ステキブンゲイ編集部)
