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「第五回ステキブンゲイ大賞」最終選考結果発表

2026年8月6日 公開

小説投稿サイト「ステキブンゲイ」で募集しておりました、第五回ステキブンゲイ大賞の結果を発表いたします。ステキブンゲイ大賞は、小説投稿サイト「ステキブンゲイ」から、新たな「ブンゲイスター」を輩出するためのコンテストです。

募集期間は2024年10月1日 ~ 2025年12月31日 まで。応募作品数は過去最多となる1,295作品となりました。​

▽最終選考までの経過はこちら

https://sho461.wixstudio.com/sutekibungei-help/news/26063001

選考結果は下記の通りです。

※順不同・敬称略

大賞

該当作なし

コミカライズ(STORYTOON)賞

該当作なし

▽最終候補作
【総評・選評】

■ 審査委員長 中村航の総評・選評

 ステキブンゲイ大賞も5回目を迎え、ご応募いただいた方や、関係者の皆様にはたいへん感謝しております。今回の選考では過去最多となる1,295作品のご応募をいただき、選考の進行が遅れたものの、応募作品にはすべて目を通し、真摯に審査させていただきました。本賞の目的は「一般文芸として出版の意義を見いだせる小説」の発掘にあり、選考委員、編集部ともに、ぜひとも大賞作を出したい、という思いで取り組ませていただいております。応募作から溢れる、純粋さや、創作の楽しさや喜び、に心打たれながらも、多くの読者に届けるという、プロ作家でも日々悩んでいる観点での評価をせざるを得ず(しかも本当に正しい評価ができているかどうかはわからない)、まことに断腸の思いではありますが、大賞作なしという結果になりました。
 とはいえ、多くの応募作のなかから、最終選考作に残った三作には、何かしらの強い魅力があります。そんななかでの辛口な部分は恐縮ですが、三作品について講評をさせていたたきます。


「護衛官 マイノール・タイスンの誓い」
 端正で正確な文章表現で、関係性の変化や成長をじりじりと描いており、その点は選考委員の総意として好印象だった。すでにシリーズ物としての評価があるならば、これで良いのかもしれないが、これから世に出す作品としての評価となると、「どうする?」「どうして?」「どうなる?」という、読者を引きこむ展開が、もっと必要になると思う。

 

「海辺の羊」

 ストーリーやテーマよりもキャラクターに心打たれることがあって、本作においては、ファジャルというキャラクターが好印象で、強く記憶に残った。このようなキャラクターをリアリティをもって描くことのできる、作者の人間性や(おそらくは)人生経験に、勝手ながら深い敬意を覚えた。一方、文章作法として、記号の使い方に難があって、公募においての減点対象にはならないが、確実にリーダビリティを削ぐので、特に重たいテーマを扱う際には注意したほうが良いだろう。


「旅する本屋(リブレリーア)―時紡ぐ古書の帰郷―」
 ともかく作者が楽しんで書いていることが感じられ、創作の喜びのようなものに触れられて、読んで良かったと思える作品だった。次々に展開される物語の大胆さは評価できるが、それぞれのエピソードが薄味だったのは残念。世界を跨ぐこの話を、例えばだが、神保町内の話にまとめたのなら、断然、面白くなるのではないかと思った。

【審査員選評】

■ 加藤千恵(歌人・小説家)

最終候補となった三つの作品を読ませてもらったが、いずれも受賞には値しないのでは、というのが率直な意見だった。
それぞれに魅力となりそうなものが存在はしていたが、強く推したいと思える作品はなく、他の選考委員たちと深く話し合っても、そこは変わらなかった。
また次の機会に期待したい。

「護衛官 マイノール・タイスンの誓い」
描きたかったものは伝わってくるけれど、それが唯一無二であるかと言われると、そうは思えなかった。
いくつかのエピソードが小ぢんまりとまとまっている印象で、たとえばスマホゲーム内のミニシナリオ(エピソード)というものに近く感じられた。

「海辺の羊」
描き出したいテーマを、少々詰め込みすぎているような印象を受けた。
そして物語における描写が、描写というよりもあらすじに近い、説明になっていると感じてしまった。
会話や心情描写の中で情報を伝えていく、という書き方を増やしてみてほしい。

「旅する本屋(リブレリーア)―時紡ぐ古書の帰郷―」
キャラの設定もしっかりしているし、文章のほころびも少ないが、2人の関係性を描き出すために、
果たしてこれだけの長さが必要なのだろうか、また長さに値するカタルシスが存在しているだろうかとなると、
少なくともわたしには見いだせなかった。

■ いぬじゅん(小説家)

「護衛官 マイノール・タイスンの誓い」
護衛官としてのプライドが育まれていく過程を、間近で見守っているかのような臨場感がありました。作者が楽しんで描いていることが伝わり、最後まで心地よく読ませていただきました。
一方で、主人公の自分語り(心理描写)が多めである点が気になりました。そこに文字数を割きすぎると展開が停滞し、読者との距離が生まれてしまうことがあります。心情を行動や描写で表現することも必要かと思います。
後半の展開については、アイオールを想うが故に卑屈になるのは理解できますが、同時に成長の軌跡が示されると、物語全体の印象がさらに引き締まったと思います。

「海辺の羊」

主人公が負った傷の再生が、過去パートを巧みに織り交ぜることで立体的に描かれていました。被害者であったはずの兄が、抑圧に耐え切れず加害者へと変貌していく過程は生々しく、説得力があります。 また、血縁が濃いほど冷たく、距離のある人間のほうがやさしくなれるという関係性の描写には、深く共感しながら拝読しました。
惜しむらくは、「〜した」「〜だった」といった叙述が頻出するため、物語というより手記のような印象を受けた点です。その結果、母親が包丁を手にする場面や、頼子に内情を告白する場面など、本来なら物語の緊張が高まるはずの箇所がやや淡泊に見えてしまいました。

「旅する本屋(リブレリーア)―時紡ぐ古書の帰郷―」
冒頭から事件の核心へと踏み込む展開はテンポがよく、読者を一気に物語へ引き込む力がありました。ただ、主人公の年齢や外見など、基本的な人物像がもう少し示されていると、読者が状況をより鮮明に思い描けたのではないかと感じます。

ミステリー要素については、読者が「この先どうなるのか」と思わず身を乗り出すような謎や仕掛けがもう一段深まると、作品全体の魅力がさらに増したと思います。

作者の文章力は最終選考に残った作品の中で一番完成されていました。

■ 夜見ベルノ(小説発掘VTuber)

まずはご応募いただきました皆様、ありがとうございます。
そして最終選考に残った皆様、おめでとうございます。
最終選考は審査員間でもかなり意見が分かれる結果となりましたが、いずれも可能性を感じさせる作品だったと思います。

「護衛官 マイノール・タイスンの誓い」
本作を含めた複数の作品で「ラクレイド」シリーズを構成しており、その世界観の描き方は最も優れていると感じました。
互いを想い合うゆえに足踏みを繰り返すような愛の重さは、好きな人にはたまらない関係性でしょう。
ただ、王子襲撃事件周りの経緯が周辺の設定に関してやや粗く、やや浮いて見えてしまうように思えました。
二人の関係性の前提となる重要な事件だけに、もう少し説得力を出せればなお良くなったと思います。

「海辺の羊」

DV・障害・外国人労働者・東日本大震災の復興など、多数の社会問題を重層的に織り込んだ作品であり、
構成力の面では最も優れていると感じた作品でした。
同時に、各々が繊細な扱いを要するテーマであるため、作中においていずれも代替不可能な要素であったかと考えると、
描き方についてはより工夫の余地があるのではないかと感じる部分がありました。
どうしても外せない要素だけに絞り、より後半の密度を上げても良いかもしれません。

「旅する本屋(リブレリーア)―時紡ぐ古書の帰郷―」
タイトル、そしてテーマが最も良いと感じた作品でした。
「大英図書館に置き忘れられた古書の謎をめぐる物語」というのはロマンティックで良かったです。
ただ、バディものとしては活躍のバランスがルチアーノに偏りすぎているように見受けられ、
ともすれば「自走していくルチアーノを追うと事件が解決している」という印象を受ける部分があります。
ユーゴならではの能力を生かした活躍がもう少しあるとなお面白くなったかなと感じました。

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